Rush hour at the Museum - diversification patterns provide new clues for the success of figs.
Rush hour at the Museum - diversification patterns provide new clues for the success of figs.
Sam Bruun-Lund, Brecht Verstraete, Finn Kjellberg, Nina Rønsted
Acta Oecologia, 3 Nov. 2017
doi: 10.1016/j.actao.2017.11.001
概要
熱帯地域全域で多様であるFicusを使って、種の多様な属がどのようにして形成されたかを"Museum model" "Cradle model"の二つの仮説を立て、調べた論文。
多様化と、生活形・性表現・送粉様式の関係も解析している。
*Museum model: 絶滅率が非常に低く、長い期間をかけて徐々に種を蓄積し多様化
*Cradle model: 比較的最近に急速に多様化
Result①&Discussion①
Ficusは突然の放散はせず、徐々に種が蓄積されていた(Fig 2)。=Museum model
Result②
イチジクコバチによる能動的送粉、monoecy、半着生植物がFicusの多様化を促進していた。
これらの3つの特性は、獲得すると他の特性に移行する率が低い。
Discussion①
能動的送粉:能動的送粉を行う種は受粉率が高く、他家受粉の確実性が高いためヘテロ接合度を高く維持できる(種分化を早める原動力になりうる)。
能動的送粉は絶滅しにくい可能性があり、マイクロニッチを占有できる。
monoecy:一般的な被子植物とは対照的に、monoecyのFicusはDioecyよりも多様化率が高かった。
・dioecyより花粉の分散範囲が広かった?
・自家和合性のあるbisexualは自家不和合性のある種・雌雄異株より長距離分散後に新しい個体群を形成しやすい
(⇒これはFicusに限った話ではないのでは?Ficusは本文中にもあるように独特の送粉様式や、とても多様な生活形を持っている。この特性と性表現の関係を明らかにし、特性によってDioecyの不利が高くなっている(monoecyの有利性が高まっている)可能性についても考えたい。)
半着生植物:
・花粉の分散範囲が広い(⇒理由がよくわからなかった)
・ほとんどの植物が定着できないニッチへの定着を可能にする。
根の柔軟な適応が、乾燥した環境への適応も可能にしているかも?
・半着生はより安定した特性かもしれない。
Discussion③
・Ficusは先駆種的な特性を多く持つ(種子が小さい、成長率や繁殖率が高い、根付ける環境が多様 等)。
・Ficusは大量絶滅が起こったK/Pg境界が起こる前である白亜紀後期に生じた
⇒大量絶滅後、先駆種的な特性を用いて空いたニッチに広がり、今回多様化と関係があると分かった特性によってマイクロニッチを占有したのではないか。
・1つのイチジク種に複数のイチジクコバチが訪れることが明らかになっている。
⇒雑種形成および遺伝子移入が起こる可能性があり、Ficusにおける大きな遺伝的および種多様性に寄与しているかもしれない。
全体コメント
地域ごとに分けた解析と、全体の解析を行い、比較する方がよいのでは。
また、地域と各特性・多様化に関係はみられないのだろうか?